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ザナドゥの魅力とは?
Xa
敵の数が有限なこと、それがザナドゥの最大の特徴であろう
フィールドの敵シンボルに接触すると戦闘画面になり最大9匹の敵が出現する、これが1グループである
それを倒すと敵は3回同じ場所に再出現し計4グループで1つとなっているのだが、面白くも難しいのは見た目は同じなのに殆どの場合それぞれ中身が変わることだ
敵の数・所持アイテム・行動パターン・魔法耐性・ステータス等のパラメーターが、1グループごとにそれぞれ細かく設定されている
これが敵のバリエーションを増やしている上、モンスターのバックグラウンドの想像を掻き立てる素晴らしいアイデアであり
「この攻撃力の高いグループは強力な武器を持っているのか?」とか、「この極端に弱いグループは年老いているのか?」とか、そこに物語を感じることができる
ダンジョンの敵は一度倒せば再出現することは無いが何番目のグループの敵なのかは分からない、フィールドで各グループの特徴を覚えてからの方が対応しやすいだろう
フィールドもダンジョンも敵を狩り尽くせば居なくなってしまうので、延々と同じ敵と戦って稼ぎ続けるということができないようになっている

ザナドゥの戦闘は非常にシンプルである、敵に向かって体当たりするだけでダメージをやりとりする戦いが始まる
攻撃ボタンなんてものは必要なく、移動ボタンが攻撃も兼ねている洗練された操作性だ
しかしだからといって単調な訳ではなく、こちらの防御力が正面・横・後ろで変化する
正面から攻撃を受けた場合は盾と鎧の防御力が加算されるが、横から攻撃された場合は鎧の防御力のみで、後ろはさらに防御力が低くなる
正面以外から攻撃されると大きなダメージを受けやすいので、敵を倒した時に出現する宝箱を壁にするなどして囲まれないように一体ずつ敵を処理していく必要がある
多くの敵も方向によって防御力が変わり、大抵は横や後ろの防御力が低いが中には正面の防御力が一番低い敵もいる
この向きが重要となるシステムが、敵に接触するだけの近接戦闘にアクション性と戦略性を加えたと言える

ザナドゥは敵を倒すことができれば勝利という単純なゲームではない、なるべくダメージを食らわないことが重要となる
というのもこのゲームには回復魔法が存在せず回復アイテムも有限、店で回復してもらう場合は必要なお金が高額なのだ
回復にお金を使い過ぎてしまうと必要な食料・鍵・装備を買うお金が足りなくなり、装備が不十分だと余計にダメージを食らいやすいという悪循環に陥る
そのため「ダメージは沢山受けてしまったが何とか敵を倒せた」というのは得られるゴールドよりも治療費の方が嵩み赤字になってしまう為、敗北と同義である
なるべく消耗を抑えるよう常に緊張感を持って戦い、ちまちまとお金を貯め、どーんと強い装備を買うというのがザナドゥの醍醐味である
シナリオ2では安売りしているRed Potionをがぶ飲みして回復、アイテムを安く買って高く売る行商によって無限に金稼ぎができるのでザナドゥらしさは薄れてしまった
Xa
終盤になっても手に入るゴールドはそれほど増えず敵一体あたり100前後、一方治療費はHPが高くなるほど増え続け最終的に数万ゴールドにもなる

敵の攻撃力が高すぎてどうしても大ダメージを食らってしまうようなら魔法を使ってみるのも良いだろう
魔法なら離れたところから攻撃できるし値段は張るが全体攻撃できるものもある、しかもMPのようなものは存在せず無限に使える
しかし万能という訳ではなく敵によっては効かない種類の魔法があるし、最後の一匹を魔法で仕留めてしまうと敵がアイテムを持っていても手に入らない
敵がアイテムを持っているかどうかは敵を倒した時に出る白い宝箱から手に入るGoldで判別できる
幾つか宝箱を開けてみて入手Goldが変動するようならアイテムを持っている、Foodか固定のGoldの場合はアイテムを持っていないので魔法で倒してしまって良い
貴重なアイテムを持っている敵グループの場合、最後の一体は武器で止めを刺そう、すると赤い宝箱が出現しアイテムが手に入る
MP管理という煩わしい要素を廃止しながらも常に剣と魔法の使い分けを考える必要があり、今見ても革新的なアイデアと言えるだろう
Xa
原作では入手Gold = フィールドLEVEL×2×(1〜10の乱数)とのことだが、ザナクロでは何故か0〜9の乱数になっているようで、
画像のようにわざわざ宝箱を開けたのに「0ゴールドを手に入れた」ということが起こりうる、これはさすがに酷くないだろうか…

とどめの刺し方はキャラクターの成長にも影響する
武器で敵を倒すと戦士の経験値が、魔法で敵を倒すと魔法使いの経験値が入り、経験値が貯まれば寺院でレベルを上げることができる
両方ともレベルアップに必要な経験値が貯まっている場合、戦士のレベルアップが優先される
戦士レベルと魔法使いレベル、どちらか一方だけでゲームをクリアするのは困難なのでバランスよく上げる必要がある
ただしレベルを上げられるからといって、ウキウキしてすぐに寺院に駆け込むのは得策ではない
レベルを上げると最大HPが増え食料の消費が増えるし、シナリオ1では鍵の値段も上がってしまう
よってレベルを上げた方が強くなるが、なるべくレベルを抑えて進めた方が金銭的にはメリットがあるというのが悩ましいところである

ザナドゥは数値のインフレが凄まじい、攻撃力なんて最終的に100万を超える、自分がプレイしたゲームの中ではぶっちぎりで一番だ
個人的には一桁二桁の小さな数値をやり取りするRPGが好きなので、最初「やり過ぎだろ!」と思ったが、最終的には緻密に計算されているのだなと思った
まず注目したのが熟練度のシステムである
ザナドゥでは装備1つ1つに熟練度が設定されていて、武器と魔法はダメージを与えることで、盾と鎧はダメージを食らうことで熟練度が上がる
そして使い込むことで武器と魔法の攻撃力は8倍以上、盾と鎧の防御力は6倍以上に上昇する
これは一般的なRPGなら何度も装備を買い替える位の性能の上昇であり、製作者はグングン強くなっていくことを実感できるバランスにしたかったのだろう
となると装備自体も買い替えを促すためにインフレを加速させる必要があり、最終的には初期装備の1000倍以上〜2000倍の強さの装備が手に入る
当然それに合わせて敵の強さも跳ね上がっていく、さらに大抵のエリアには意図的に場違いなほど強い敵まで設定されている
こんなインフレにインフレを重ねるような戦闘では、普通ゲームバランスが崩壊してしまいそうなものだが、たった一つのシンプルなアイデアでまとめ上げてしまった
それは敵から簡単に逃走できるようにしたことである、つまり戦う相手を選択できるので倒せる敵から戦っていけばいいということだ
さすがにダンジョン内は狭いので敵から逃げながら部屋を回ることはできないが、アイテムを使えば強敵を回避したり倒したりすることも可能
そのため敵をよく知ることが一番重要になっている

Xa
戦闘に関係する数値が物凄くインフレしていくにも関わらず、戦闘バランスは破綻するどころか終盤見事に収束していく
中でも圧巻なのはシルバードラゴン戦で、今までのデカキャラとは近接戦闘力が桁違いに強く設定されているので、近づかれる前に魔法で倒すのが一般的
そのためDeathの魔法を買う財力があるかどうかと、魔法使いのレベルをきちんと上げているかどうかを問われるのだが、
実は持っていなくても、どうにか倒せる強さに調整されている
ダンジョンで拾える現時点で最強の装備なら武器でダメージが通るし、HPが高ければ敵の一撃に耐えることもできる
なのでRed Potion使用タイミングがシビアになるかもしれないが、理論上は接近戦でも倒すことが可能になっている
魅力が低くDeathの魔法が高過ぎて買えない場合や、魔法を使わない縛りプレイまで考慮しているのだろう
大味に見えて非常に繊細なゲームバランスである
Xa
上の画像はザナクロの内部データだが、デカキャラの攻撃力と魔法防御力が原作よりも上がっている模様
だからといって強化されたという訳ではなく、Deathの魔法を最大まで強化した場合、ザナクロではSilver Dragonを5発で倒せるのだが、原作では9発当てる必要がある
これは原作にはデカキャラに対しては武器や魔法の攻撃力が下がるという仕様があるためであり、本来637500の攻撃力のDeathの魔法が191250になってしまうようだ
その違いによって例えばシナリオ2のBoiardoは原作ではDeathでもダメージを与えられないが、ザナクロは7発で倒せてしまう
魔法だけで倒せてしまうなら幾ら攻撃力が高くても関係ないのだから弱体化したと言えるだろう
なおザナクロのファイルを開くにはサクラエディタを使用、最初Visual Studioで開いたが緑の解説文が文字化けして読めなかった
こちらの数値を変更してファイルを保存するだけではゲーム内容に反映されない様子、何かもうひと工夫必要なのかもしれないが、やり方は不明である

ザナドゥには多くのプレイヤーを地獄に突き落としたカルマシステムが搭載されている
・カルマモンスター(善のモンスター的な意味であろうか)を倒すとカルマが上昇してしまう
・ペナルティは大きく、カルマが1でもあると寺院でレベルを上げられないし最終ダンジョンにも入れなくなってしまう
・上昇するカルマ値は戦士レベルと魔導師レベルの合計なのでレベルが高いほど取り返しがつかなくなる
・カルマを下げる唯一の方法は毒ポーションを拾うことであり、現在HPが半分になる代わりにカルマが5下がる
・カルマモンスターの中には良いアイテムを持っている奴も居て、毒ポーションで下げられる分は倒してしまうのもアリ
要するに手あたり次第にモンスターを殺せばいいという訳ではなく、プレイヤーに倒してしまって良いのかどうかの判断をさせることによって戦闘に深みを与えている
・「こいつはカルマモンスターです」なんて警告はないので、油断しているといつの間にかカルマ値が激増しているなんてことが起こる
・一度敵を倒してカルマが増えていないことを確認して「こいつは大丈夫だ」と判断していると、シナリオ2では後のグループだけカルマモンスターだったりすることも
・一応名前の後ろにJRとかChildとか追加されており、ギリギリ理不尽とは言えないラインかもしれない
プレイヤーをだまし討ちしようとする卑劣な製作者とのやりとりを楽しめるシステムと言えよう
Xa
・毒ポーションがHPを削ることを狙ったトラップとして出入り口付近に配置されていることが多く、注意深く歩いていないと画面切り替え直後にうっかり取ってしまう
・そもそもカルマが0の時は残しておきたいアイテムなのに、出入り口を塞いでいる場合は魔法で壊さないと先に進むことができない
・シナリオ2には1ドット違うだけで殆ど見分けのつかないカルマの下がらない毒ポーションまで存在する
よくここまでえげつないことを考えつくものだと関心してしまった
しかもここに書いてあることはマニュアルに一切説明が無いのだから本当に恐ろしい

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